保険の実質利回りの計算のやり方
多くの方が 保険のパンフレット等に書かれている予定利回りで、払った保険料全額が運用されると 思ってらっしゃると思います。例えば 3.5%と書かれていて、毎月一万円払っていたら、その全額が3.5%で満期までに運用されると。
実は違うんです。その保険料から、諸手数料や経費(合計払った保険料の3割以上)と保険(保障)部分があれば、それらの金額を引いた残りのお金の運用利回りが 3.5% なんです。払った保険料全額に対するものを 実質利回りと言います。金融庁も「誤解を与える恐れが強い」として、両方併記するように 既に強く指導を始めてます。
一部では 併記が始まっていて、実質利回りは 大概予定利回りの半分以下です(3.5%だったら 1.7%以下)。しかも 近年の保険は 国内の低金利を反映して、豪ドル等の外貨建てがほとんどです。遠い将来の為替リスクを負うことになります。満期時に円安だったら万々歳ですが、円高だったら 最悪元本割れもありえます。「円高だったら、円安になるまで 外貨で置いておけます」なんて、お気楽な事を言われるかも知れませんが、5年以上とか生きている間に 戻らない事だってありえます。
実質利回りは、毎月払いや年払いの場合、下記サイトの「目標額を達成するための利回りを計算する」タブで計算できます。
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毎月の保険料を「毎月の積立金額」に(小数点も入ります)、支払い期間を「積立期間」、満期にもらえるお金を「目標金額」に入れれば いいのです。年払いだったら、12で割った数字を「毎月の積立金額」に入れれば、そんなに大きな誤差は ありません。
一括払いの場合は、簡単です。下記式で計算できます。「^」はべき乗の意味です。エクセル等にこのまま入力すれば、計算できます。
(満期にもらえるお金/一括払い総額)^(1/満期までの年数) :例えば1.017と出れば 年平均利回りは1.7%です
利回りが高ければ、リスクを冒してもいいと思います。ですが 2.0%程度以下の低利回りで、そんなリスクを 負う必要は全然ないと 私は思います。それに 見かけ高利回りに見せるために 大概豪ドル等高金利通貨を使います。高金利と言う事は インフレ傾向で、長期的には為替は必ず下落します。なので国内金利と大差なくなると 言われています。(保険を設計する人は よくご存じです。ですが 見かけの利回りが低いと 売れないので、あえて高金利通貨を使います)
また ドルやユーロ以外の、国際通貨でないものは、両替手数料もかなり割高です。往復で効くので かえって不利です。もし 本当に有利なら、超低金利で運用先に困っている 国内の銀行や、債券の機関投資家等が 殺到する筈です。常識なので ほとんど買いません(一部 分散やリスクヘッジで保有する事は ありえますが)。
預貯金なら いつでも元本割れせずに、下せます。ですが 保険は、早期に解約すると元本割れです。満期前なら、その低い実質利回りさえ 下回ります。終身保険の約7割の方が、損を承知で途中解約するそうです。勤め先の倒産 解雇や離婚等、色々あるためだと 思われます。
実質利回りの件は、下記記事にも 書かれてます。
金融庁が生保に怒りの鉄槌!節税・外貨建て保険に「是正指導」
https://diamond.jp/articles/-/187411?page=2
「パンフレットなどに載せている積立利率(手数料など生保側の契約の初期費用を差し引いた積立金の保証利回り)が、あたかも実質的な利回りであるかのように“優良誤認”させかねないケースがある」